2014年7月16日水曜日

L.Maazel/Cleveland o. Tchaikovsky Sym.5

天気予報では今日も31℃の真夏日になるという予報だったが、朝から雨模様で気温も30℃まで行かず、大変過ごしやすい一日だった。でも天気同様、自分の心も晴れない一日だった。
昨日の朝、新聞でマゼールの訃報に接し、帰宅後何か聴こうと思いながらも音楽を聴くことができなかった。

ようやく、今日になって少し気持ちも収まったので何を聴こうか考えた。MUUSANがススメてくれた新マーラー全集(現在1~6番まで発売済)も買いそびれてしまっていて、旧全集も良いけれど食指は動かず・・・。マゼール好きながらディスクはあまり持っていないのです。
ということで、クリーヴランドO.とのチャイコフスキーの5番をチョイス。デジタル初期、80年の録音。劇的、感動的に演奏しようと思えばいくらでもできるこの曲。マゼールは努めて抒情的に演奏している。以前はよくもこんなに平板かつ無感動に演奏できるなと思ったものだ。他の劇的な演奏に慣れてしまっていた耳にはひどくつまらなく聴こえた。しかしこれほどつまらなく演奏できるマゼールの才能というか度胸に感心したことも間違いない事実。しばらく後のVPOとのマーラー全集でも決して感動的とは言えないけれど大きくデフォルメを施し、マーラーの肥大したグロテスクさを鮮やかに暴いてみせた彼。チャイコフスキーの甘ったるいセンチメンタリズムや高揚感をさらけ出すことなど容易だったはず。それを敢えてせず、センチメンタルな部分やダイナミクスをグッと抑えることでこの曲の持つ強靭な精神を浮き彫りにすることに成功しているのではないか?そんなことに気が付いたのはほんの最近のこと。

マゼールの演奏は表面上は非常に奇異な印象を受けるが、なかなか分かりにくいこと、理解されにくいことをやっていたのではないだろうかと考えることがある。評判もあまり良くなかった。でも、やっぱりマゼールの演奏には何か自分の心をひきつける何かがあった。

改めて、ご冥福をお祈りする。

新マーラーチクルスを注文した。マゼールの最後のメッセージをぜひ聴かなければなるまい。


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